認定心理士とは?資格の意味・取り方・できることをやさしく解説

認定心理士とはどんな資格かを、意味・取り方・最初の一歩から解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が日本心理学会・公的機関・各大学の公開情報を調べて独自に執筆しています。認定心理士の基準・費用・手続きや大学の制度は変わることがあるため、最新の情報は日本心理学会と各大学の公式サイトで確認してください。

大学で心理学の授業を取っているけれど、認定心理士とは結局どんな資格なのか、よく分からない。そんなモヤモヤを抱えている方も多いはずです。

結論から言うと、認定心理士とは「大学で心理学の基礎をきちんと学んだ」ことを日本心理学会が認める資格です。試験はなく、大学で取った単位を書類で審査してもらいます。

この記事を読むと、資格の意味と取り方、そして今の自分が何から始めればいいかが分かります。

目次

認定心理士とは?ひと言でいうと「心理学を学んだ証明」

先に結論

認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する心理学の基礎資格です。大学で心理学の標準的な基礎知識と基礎技術を身につけたことを、学会が認めてくれます。

『心理士って名前だから、カウンセラーの資格なのかな』と思いますよね。

実は、そこがいちばん誤解されやすいところなんです。日本心理学会は、認定心理士を職能の資格ではないと説明しています。

つまり「この資格があればこの仕事ができる」という種類の資格ではありません。大学で心理学を専門に学んだことの証明になる資格、と考えるとイメージしやすいですよ。

基本の情報を表で見てみる

まずは、認定心理士の基本をひと目で見られるようにしておきますね。

項目内容
正式名称日本心理学会認定心理士
認定する団体公益社団法人日本心理学会(民間の学会。国家資格ではない)
どんな資格か心理学の基礎資格。職能の資格ではない
試験ない。大学で取った単位を書類(または電子申請)で審査
必要な単位心理学関係の科目で合計36単位以上
学歴の条件四年制大学を卒業して学士、または大学院修士課程を修了
費用審査料11,000円+認定料33,000円(合計44,000円)
更新・年会費どちらもない

正式名称の書き方や学会での位置づけは、認定心理士の正式名称は?日本心理学会が認定する資格の位置づけで詳しく紹介しています。

「心理学」という名前の学科でなくても取れる

認定心理士の資格は、心理学の学科名がいろいろに広がってきたことから生まれました。

大学では「人間科学科」「教育学科」「コミュニケーション学科」のように、心理学を学んでいても学科名に「心理学」と入っていないことがよくありますよね。そんな時でも、学んだ中身を学会の基準で証明できるのがこの資格です。

認定心理士の意味は?なぜ必要とされるのか

意味は「学んだ中身を、学科名に関係なく見せられること」

学会が挙げているメリットは、心理学という名前の付かない学部や学科を出ていても、心理学の標準的な基礎学力と技能を身につけていると証明できることです。

『わざわざお金を払って取る意味はあるの?』という声もよく聞きます。

認定心理士の意味を考える時は、何が証明されて、何は証明されないのかを分けて見ると分かりやすいです。

証明されること
  • 大学で心理学を専門科目として学んだこと
  • 実験・研究法・概論など基礎をひととおり修めたこと
  • 学科名に「心理学」が無くても中身は心理学だったこと
証明されないこと
  • カウンセリングなど心理職の業務ができること
  • 特定の職業に就けること
  • 国家資格と同じ扱いを受けること

学会のQ&Aでは、大学で心理学を専門科目にしていたことは証明されるので、それを生かした仕事はできると思われる、という言い方をしています。

ここが大事なところです。生かせるかどうかは、資格そのものより「学んだことをどう話すか」にかかっています。

心理学の資格として、こんな場面で役に立つ

例えば、就職活動の面接で「大学で何を学びましたか」と聞かれた場面を考えてみてください。

「心理学を学びました」だけだと、どこまで学んだのかは相手に伝わりにくいですよね。認定心理士があれば、実験・統計・概論まで基準を満たして学んだことを、資格名ひとつで説明できます。

ほかにも、こんな使い方があります。

  • 履歴書やプロフィールの資格欄に、学んだ分野をはっきり書ける
  • 大学院や別の勉強に進む時、心理学の基礎を学んだ記録として話せる
  • 社会人になってから学び直した成果を、形に残せる

仕事への生かし方は、認定心理士でできる仕事は?就職・キャリアへの生かし方で場面ごとに紹介しています。

更新も年会費もない

認定心理士は一度取れば更新の手続きはなく、年会費もかかりません。日本心理学会の会員になるのは別の手続きなので、資格を取っても自動で会員にはならないんです。

認定心理士の取り方は?試験はなく、単位を書類で審査

取り方は「単位を取る」と「申請する」の2段階

認定心理士は、大学で決められた心理学の科目の単位を取り、卒業してから日本心理学会に申請します。審査は書類で行われ、試験はありません。

『認定心理士の試験って、いつあるんだろう』と調べている方もいますよね。

結論から言うと、認定心理士に試験はありません。だから合格率や試験日というものもないんです。

申請できる人の条件

資格認定の条件は、大きく3つあります。

条件中身
日本に滞在した経験16歳以降、通算2年以上日本に滞在した経験がある
大学での単位大学または大学院の心理学専攻か、心理学に関連する専攻で、決められた科目の単位を取った
学歴四年制大学を卒業して学士、または大学院修士課程を修了して修士

他の学部や他の学科を卒業していても、基準を満たす科目の単位があれば取れます。卒業してから何年たっていても申請できるのも、うれしいところですよね。

ただし、専門学校や民間の通信講座の受講では取れません。学会が対象にしているのは、四年制大学で開講されている科目で、単位取得の証明書が出るものだけです。

必要な単位は36単位以上

認定心理士に必要な単位は、合計36単位以上です。中身は基礎科目と選択科目に分かれています。

区分主な科目の例必要な単位(現行の2014基準)
a 心理学概論心理学概論・基礎心理学 など4単位以上
b 心理学研究法心理学研究法・心理統計学 などbとcで合計8単位以上
c 心理学実験実習心理学実験・心理学基礎実験 などうち4単位以上はc
d〜h 選択科目知覚・生理・発達・臨床・社会 などの心理学5つのうち3つ以上で各4単位以上、合計16単位以上
i その他心理学関連科目・卒業論文必須ではない(卒業論文は4単位まで)

残りの8単位は、a〜hのどの科目か、iで埋めます。科目名ではなく授業の中身で審査されるのも、知っておきたいポイントです。

認定心理士の36単位が、基礎科目12単位以上・選択科目16単位以上・残り8単位で組み立てられることを示した図解

単位の数え方は認定心理士の必要単位は36単位|基本主題・副次主題の数え方、取り方全体の流れは認定心理士の取り方|なるには何が必要?取得方法を順番にで順番に紹介しています。

2027年4月から新しい基準も始まる

2027年4月1日から2027基準が始まり、選択科目は「5つのうち4つ以上で各2単位以上、合計16単位以上」に変わります。2031年3月31日までは2014基準と2027基準のどちらでも申請できます。

申請から認定証が届くまで

申請の方法は、書類を郵送する方法と、Webの電子申請の2通りです。どちらでも審査の基準は同じです。

申請の大まかな流れ
  1. 日本心理学会のサイトから申請書類を入手する
  2. 審査料11,000円を払い込む
  3. 成績証明書や単位表などの書類をそろえて提出する
  4. 書類での審査を受ける(結果の通知までふつう2〜3か月)
  5. 合格したら認定料33,000円を払う
  6. 認定証とIDカード(認定心理士証)が届く(入金から約2〜3週間)

申請の手続きは認定心理士の申請方法と流れ|申し込みから認定証が届くまで、お金のことは認定心理士の費用はいくら?審査料・認定料と支払い方法でまとめています。

在学生・卒業生・社会人、あなたはどこから始める?

最初の一歩は、今の立場で変わる

同じ認定心理士でも、大学に在学中の人、もう卒業した人、社会人で学び直したい人とでは、やることの順番がまるで違います。自分に近いタイプから読んでみてください。

ここが、ほかの解説ではあまり語られないところです。

『調べるほど情報が多くて、自分が何をすればいいのか分からない』という方もいますよね。そこで、どんな人が・いつ・何のために取るのかを3つのタイプに分けて、最初の一歩を地図にしてみました。

タイプよくある状況取る目的の例最初の一歩
在学生心理学部や心理学科、関連学科に在学中学んだことを卒業時に形にしたい大学の履修案内で対応科目を確かめ、取った単位を数える
卒業生大学を出て、心理学の科目をいくつか取っていた学んだ証明を今から手に入れたい成績証明書を取り寄せ、36単位に足りるか照らし合わせる
社会人の学び直し心理学部以外を出た、または大学を出ていない働きながら心理学を体系立てて学びたい通信制大学などで、どの入り口から入るかを考える
在学生・卒業生・社会人の3タイプ別に、認定心理士に向けた最初の一歩を示した地図の図解

在学生なら、まず「卒業までに足りるか」

在学生の方は、大学の履修案内やガイダンスで、認定心理士に対応する科目が案内されていないか見てみてください。

例えば、大学3年の秋に単位を数え直す場合を考えてみます。c 心理学実験実習の科目が足りないと分かれば、4年生の時間割に組み込めますよね。

卒業見込みの年度に条件を満たしていれば、卒業前に申請できる仮認定という仕組みもあります。詳しくは認定心理士の仮認定とは|卒業前に申請できる条件と流れで紹介しています。

在学生が今のうちに確かめたいこと
  • 大学が認定心理士の対応科目を案内しているか確かめる
  • 心理学の実験科目(c)を何単位取れるか見ておく
  • a・b・cのシラバスを手元に残しておく
  • 選択科目が5つの分野のうちいくつにまたがるか数える

卒業生なら、まず成績証明書

もう大学を卒業した方は、まず出身大学の成績証明書を取り寄せましょう。そこに並んだ科目名と単位数が出発点になります。

例えば、心理学部以外の学部を出て3年目の会社員の場合でも、教養科目の心理学概論や、他学部で取った心理学の科目が使えることがあります。

足りない単位は、卒業後に別の大学で履修した単位と合わせて申請できます。複数の大学の単位を合わせる時は、それぞれの大学の成績証明書が必要です。

社会人の学び直しなら、まず大学の入り口

社会人で、これから心理学を学びたい方は、まず「どの大学で単位を取るか」を考えるところから始まります。

働きながらなら、通信制大学で学ぶ方法が候補になります。大学を卒業していない方は1年次入学や編入学、すでに学士を持っている方は科目等履修という入り口もあります。

通信制大学の単位も使える

通信制大学(通信教育課程)も学校教育法に定める大学です。対応する科目の単位は、認定心理士の申請に使えます。どの科目が対応するかは各大学の最新の募集要項で確かめておきましょう。

足りないものの大きさで、進め方を選ぶ

3つのタイプのどれでも、次に考えるのは「何がどれくらい足りないか」です。足りないものの大きさで、進め方がおおよそ決まります。

足りないもの考えられる進め方
足りないものはない書類をそろえて、そのまま申請する
単位が少し足りない(学士はある)別の大学で、足りない科目だけを科目等履修で取る
c 実験実習の単位が足りない実験科目が開かれている大学や、スクーリングのある通信制大学を探す
学士がまだない大学に入学または編入して、卒業までに単位をそろえる

『実験の単位だけ足りない』という場合は、意外と多いんです。c 心理学実験実習は、知覚や認知など基本的な内容の課題を4つ以上含む、計6課題以上の実験とレポートが条件になっています。

講義を聞くだけの授業や、文献を読む演習では当てはまりません。だからこそ、実験が受けられる場所を先に押さえておくと安心ですよ。

今の学歴で、どこで単位を取るか

ここまで読んで、自分に足りないものが見えてきた方もいると思います。

今の大学で取り切れる人は、今の大学が一番の近道です。卒業していて単位が足りない人や、これから学ぶ社会人の方は、通信制大学の資料を見比べると判断しやすくなります。

心理学の資格

働きながら認定心理士を目指すなら

認定心理士は大学で所定の単位を修得して申請する資格です。今から単位をそろえるなら、通信制大学で学ぶ方法があります。入学・編入・科目等履修の選び方と、大学を比べる時のポイントをまとめました。

無料通信制大学で取る方法を見る

認定心理士の基準・費用や大学の制度は変わることがあります。最新の情報は日本心理学会と各大学の公式サイトで確認してください。

通信制大学で取る流れは、通信制大学で認定心理士を取る方法|働きながら目指す流れと注意点で詳しく紹介しています。通学の大学を探したい方は認定心理士が取れる大学の探し方|大学一覧の見方と国公立・専門学校も参考にしてみてください。

公認心理師・臨床心理士とはどう違う?

認定心理士は「学んだ証明」、公認心理師は「仕事の資格」

認定心理士は日本心理学会が認定する心理学の基礎資格です。公認心理師は文部科学省・厚生労働省が所管する心理職の国家資格、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。

『名前が似ていて、どれが何なのか分からない』と思いますよね。3つを並べてみるとこうなります。

資格認定・所管どんな資格か
認定心理士公益社団法人日本心理学会大学で心理学の基礎を修めたことの証明。職能の資格ではない
公認心理師文部科学省・厚生労働省心理に関する支援を業とする国家資格
臨床心理士公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会協会が認定する心理職の資格

カウンセリングなどの心理職を目指すなら、目標になるのは公認心理師や臨床心理士です。認定心理士は、その手前で「心理学を学んだ」ことを証明する資格、と考えるとすっきりします。

違いの詳しい中身は、認定心理士と公認心理師・臨床心理士の違い|目的別にどれを目指すかで比べています。

心理学の「認定」資格はほかにもある

心理学の名前が付く資格は、民間のものも含めていろいろあります。名前だけで判断せず、どこが認定していて、何を証明する資格なのかを確かめてみてください。

心理学の認定心理士なら、大学の単位が前提になっているのが大きな特徴です。

認定心理士についてよくある相談

よく寄せられるのは「いつ・どこで取れるか」

認定心理士の相談で多いのは、取れる時期や、独学で取れるかどうか、卒業して時間がたっても間に合うか、といった内容です。代表的な3つにお答えします。

大学1年生でも取れるもの?

大学1年生だけれど、認定心理士はもう取れるのか、という相談です。

1年生の時点では、まだ申請はできません。認定心理士は四年制大学を卒業して学士を持つことが条件で、卒業前でも申請できる仮認定は、卒業見込み証明書を出せる人が対象です。

1年生のうちにできるのは、対応科目を確かめて履修の計画を立てることです。早く知っておくほど、時間割に組み込みやすくなりますよ。

独学で取ることはできる?

本を読んで独学で心理学を学び、認定心理士を取れないか、という相談です。

残念ながら、独学だけでは取れません。認定心理士は、四年制大学で開講されている科目の単位が必要だからです。

独学で学んだ知識はむだにはなりません。ただ、資格にするなら大学で単位を取る道を考える必要があります。

卒業の時に申請しなかったけど、今からでも取れる?

数年前に大学で心理学を学んだのに、卒業の時に申請しなかった、という相談です。

卒業の時期に関係なく申請できます。ただし、今の基準で書類をそろえることになるので、成績証明書とシラバスを用意して、今の基準に照らして単位を数え直してみてください。

シラバスが手に入らない時は、まず大学に問い合わせてみましょう。それでも難しい時の方法も、日本心理学会のQ&Aで案内されています。

審査は科目名ではなく中身

科目名が「心理学」でも、内容によっては基準に当たらないことがあります。どの科目がどこに当たるかは事前に回答してもらえないので、シラバスで中身を確かめておきましょう。

公式の情報は、日本心理学会「認定心理士とは」と日本心理学会「Q & A」で確かめられます。

よくある質問

認定心理士とはどんな資格ですか?

公益社団法人日本心理学会が認定する心理学の基礎資格です。大学で心理学の標準的な基礎知識と基礎技術を身につけたことを証明します。職能の資格ではありません。

認定心理士は国家資格ですか?

国家資格ではありません。民間の学会である日本心理学会が認定する資格です。心理職の国家資格は公認心理師です。

認定心理士を取るのに試験はありますか?

試験はありません。大学で取った単位を、書類か電子申請で審査してもらいます。結果の通知までは、ふつう2〜3か月かかります。

認定心理士を取るのに必要な費用はいくらですか?

審査料11,000円と認定料33,000円で、合計44,000円です。更新や年会費はありません。大学で単位を取るための学費は、大学ごとに違います。

心理学部以外の卒業でも取れますか?

取れます。他の学部や学科を卒業していても、基準を満たす心理学の科目の単位があれば申請できます。卒業後に別の大学で取った単位を合わせることもできます。

まとめ

この記事の要点
  • 認定心理士とは、日本心理学会が認定する心理学の基礎資格で、職能の資格ではない
  • 意味は、大学で心理学を学んだことを学科名に関係なく証明できること
  • 試験はなく、大学で36単位以上を取って卒業し、書類で審査を受ける
  • 費用は審査料11,000円と認定料33,000円の合計44,000円
  • 在学生・卒業生・社会人で、最初の一歩はそれぞれ違う

まずは、自分が3つのタイプのどれに近いかを決めて、その一歩から始めてみてください。

心理学の資格

心理学の資格 編集部

日本心理学会の認定心理士について、資格の意味・必要な単位と科目・申請の流れ・費用・通信制大学での取り方までを、はじめて調べる人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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