認定心理士と公認心理師・臨床心理士の違い|目的別にどれを目指すか

認定心理士と公認心理師・臨床心理士の違いを、目的別に比べる記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が日本心理学会・公的機関・各大学の公開情報を調べて独自に執筆しています。認定心理士の基準・費用・手続きや大学の制度は変わることがあるため、最新の情報は日本心理学会と各大学の公式サイトで確認してください。

認定心理士と公認心理師、それに臨床心理士。名前がよく似ていて、違いがよく分からないという方も多いはずです。

結論から言うと、認定心理士と公認心理師の違いは「学んだことの証明」か「心理職として仕事をするための資格」か、という点です。臨床心理士も、心理職の資格の側に入ります。

この記事を読むと、3つの資格の違いと、今の自分がどれを目指せばいいかの考え方が分かります。

目次

認定心理士・公認心理師・臨床心理士の違いをひと目で

先に結論

認定心理士は日本心理学会が認定する心理学の基礎資格です。公認心理師は文部科学省・厚生労働省が所管する心理職の国家資格、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。

『結局、どれがいちばん上なの?』と思いますよね。

実は、3つは上下の関係で並んでいるわけではありません。認定している所も、目的も違う、別々の資格なんです。

比べる点認定心理士公認心理師臨床心理士
認定・所管公益社団法人日本心理学会文部科学省・厚生労働省公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会
国家資格か国家資格ではない国家資格国家資格ではない(協会の認定)
資格の性格心理学の基礎資格。職能の資格ではない心理に関する支援を業とする資格協会が認定する心理職の資格
取り方の中心大学で単位を取り、書類で審査受験資格を満たして国家試験協会の定める条件で審査
試験ないある協会で確認

日本心理学会のQ&Aでも、3つの資格の違いはこの形で説明されています。公認心理師は公認心理師制度推進室、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が、それぞれの問い合わせ先です。

認定心理士・公認心理師・臨床心理士を、認定する所・資格の性格・取り方の3つで比べた図解

「心理士」と「心理師」も別の字

細かいところですが、認定心理士と臨床心理士は「士」、公認心理師は「師」です。

ネットでは「公認心理士」と書かれていることもありますが、国家資格の正しい名前は公認心理師です。書類に書く時は字の違いに気をつけておきましょう。

認定心理士はどんな資格?

大学で心理学の基礎を学んだことの証明

認定心理士は、大学で心理学の標準的な基礎知識と基礎技術を身につけたことを、日本心理学会が認める資格です。カウンセリングなどの業務をするための資格ではありません。

『認定心理士があれば、心理の仕事ができるんでしょ?』と期待される方もいますよね。

日本心理学会は、認定心理士を職能の資格ではないと説明しています。大学で心理学を専門に学んだことは証明されるので、それを生かした仕事はできると思われる、という言い方です。

取り方と費用のポイント

認定心理士には試験がありません。大学で心理学の科目を合計36単位以上取り、四年制大学を卒業してから、書類か電子申請で審査を受けます。

項目内容
必要な単位心理学関係の科目で合計36単位以上
学歴四年制大学を卒業して学士、または大学院修士課程を修了
審査の方法書類の郵送か電子申請。試験はない
費用審査料11,000円+認定料33,000円(合計44,000円)
更新・年会費どちらもない

大学院まで進まなくても、四年制大学で単位をそろえれば取れるのが大きな特徴です。正式名称は「日本心理学会認定心理士」で、詳しくは認定心理士の正式名称は?日本心理学会が認定する資格の位置づけで紹介しています。

36単位の中身をざっくり見る

『36単位といわれても、どんな科目なのか想像がつかない』という方もいますよね。現行の2014基準では、次のように組み立てます。

区分科目の例必要な単位
a 心理学概論心理学概論・基礎心理学4単位以上
b 心理学研究法心理学研究法・心理統計学bとcで8単位以上
c 心理学実験実習心理学実験・心理学基礎実験うち4単位以上はc
d〜h 選択科目知覚・生理・発達・臨床・社会などの心理学3つ以上で各4単位以上、合計16単位以上
i その他心理学関連科目・卒業論文必須ではない

臨床心理学という科目も、認定心理士ではgの選択科目の1つという扱いです。心理職の資格のように、相談の実習をたくさん積むことが求められる資格ではないんです。

心理学部以外でも取れる

他の学部や学科を卒業していても、基準を満たす心理学の科目の単位があれば申請できます。卒業してから何年たっていても申請できます。

公認心理師と臨床心理士は、どんな資格?

どちらも「心理職」として働くための資格

公認心理師は、心理に関する支援を業とする国家資格です。臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する心理職の資格です。

『公認心理師と臨床心理士の違いもよく分からない』という声もよく聞きます。ここでは、公式に確かめられた範囲でお伝えしますね。

公認心理師は心理職の国家資格

厚生労働省の説明では、公認心理師は公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて仕事をする人です。保健医療・福祉・教育その他の分野で、心理学の専門的な知識と技術をもって、次の4つを業とします。

  1. 心理に関する支援を必要とする人の心理状態を観察し、分析する
  2. その人に対して、心理に関する相談に応じ、助言や指導などの援助をする
  3. その人の関係者に対して、相談に応じ、助言や指導などの援助をする
  4. 心の健康に関する知識を広めるための教育や情報提供をする

受験資格を得るルートは7つあり、試験を行う機関は一般財団法人公認心理師試験研修センターです。どのルートが自分に当てはまるかは、厚生労働省「公認心理師」のページで確かめてみてください。

臨床心理士は協会が認定する資格

臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。国家資格の公認心理師とは、認定している所が違います。

臨床心理士になるための条件や審査の中身は、協会が定めています。目指す方は、協会の最新の案内で確かめるのが確実です。

名乗れるようになる時期も違う

資格名を名乗れるようになるタイミングも、資格ごとに違います。

資格名乗れるようになるのは
認定心理士書類の審査に合格し、認定料を払って資格取得になった時
公認心理師試験に合格し、公認心理師登録簿への登録を受けた時
臨床心理士協会の審査を経て認定を受けた時(中身は協会の案内で確認)

認定心理士は大学を卒業した時点で申請できるので、3つの中では早い時期に取りやすい資格といえます。

3つを同じものとして語らない

「認定心理士があれば公認心理師と同じように働ける」という話を見かけることがありますが、それは違います。心理職として働くことを示す資格は、公認心理師や臨床心理士の側です。

「学んだ証明」と「仕事の資格」、今の自分に合うのはどっち?

目的を2つの軸に分けると、選ぶ資格が見えてくる

資格を選ぶ時は、「心理学を学んだことを証明したいのか」「心理職として仕事をしたいのか」の2つの軸で考えると迷いにくくなります。

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

『全部取れたら安心だけど、自分にどれが必要なのか分からない』と悩みますよね。そこで、目的から選べる判定表を作ってみました。

今のあなたの目的学んだ証明が要る?仕事の資格が要る?目指す資格の目安
大学で学んだ心理学を、就職活動や履歴書で伝えたい要る要らない認定心理士
心理学を学び直して、今の仕事に生かしたい要る要らない認定心理士
心理に関する支援を仕事にしたい要る要る公認心理師(臨床心理士も)
まずは心理学の基礎を学んでから、仕事にするか決めたい要るまだ分からない認定心理士から始め、公認心理師も調べておく
心理職としてすでに働いていて、学会の資格もほしい要るすでにある認定心理士の条件を満たすか確かめる

表を見ると、多くの人にとって最初に考えやすいのは「学んだ証明」の方だと分かります。仕事の資格が要るかどうかは、学びながら決めても遅くはありません。

「学んだ証明が要るか」「仕事の資格が要るか」の2つの軸から、認定心理士・公認心理師のどちらを目指すかを判定する図解

判定のためのセルフチェック

認定心理士が合いやすい人
  • 大学で心理学の科目をいくつか取っている、または取る予定がある
  • 心理学を学んだことを、形にして伝えたい
  • 今の仕事や家庭で、学んだ心理学を生かしたい
  • 大学院まで進む予定は今のところない
公認心理師や臨床心理士も調べたい人
  • 心理に関する相談や支援を、仕事の中心にしたい
  • 保健医療・福祉・教育などの分野で心理職として働きたい
  • 受験資格や大学院のことも含めて、長い目で計画できる

心理職を目指す方の大学院での学び方は、大学院で認定心理士は取れる?大学院の単位・通信制大学院の考え方も参考になります。

例えばこんな場面で考えてみる

例えば、心理学部以外の学部を出て3年目の会社員の場合を考えてみます。

人事の仕事で心理学の知識を生かしたいなら、目的は「学んだ証明」です。この場合は、認定心理士を目指して通信制大学などで単位を取る道が考えやすいですよね。

一方、大学3年の秋に、将来は心理の相談の仕事をしたいと決めた在学生なら、目的は「仕事の資格」です。公認心理師の受験資格のルートを早めに確かめつつ、認定心理士の単位も卒業までにそろえておくと、学んだ証明も手元に残ります。

両方を視野に入れる時の考え方

『認定心理士も公認心理師も、どちらも気になる』という方もいますよね。その場合は、先に取りやすい方から順番に考えると計画を立てやすくなります。

両方を視野に入れる時の順番の例
  1. 大学で認定心理士の対応科目を確かめ、卒業までに36単位以上をそろえる
  2. 卒業見込みの年度に条件を満たしていれば、仮認定で早めに申請する
  3. 公認心理師の受験資格のルートを、厚生労働省の案内で確かめる
  4. 自分に合うルートに沿って、その先の進学や実務を計画する

認定心理士の単位は、心理学の基礎を一通り学んだ記録にもなります。心理職を目指すかどうか迷っている間に、学んだ証明だけは先に手元に残しておけるんです。

認定心理士と公認心理師の科目は重なる?

『公認心理師のための科目を取ったら、認定心理士にも使えるの?』という疑問もよく聞きます。

2027年4月から始まる認定心理士の2027基準の表には、各分野に「公認心理師省令科目対応科目」の欄が設けられています。例えば、知覚・認知心理学や学習・言語心理学、教育・学校心理学、産業・組織心理学といった科目が、それぞれの分野に対応づけられています。

ただし、公認心理師の科目がそのまま全部使えるわけではありません。2027基準では、次の科目は認定基準を満たさない例として挙げられています。

認定基準を満たさない科目の例(2027基準)
公認心理師の職責
関係行政論
人体の構造と機能及び疾病
修士論文

また、認定心理士は授業の中身で審査され、実験の単位(c 心理学実験実習)も4単位以上が条件です。科目名だけで判断せず、シラバスで中身を確かめておきましょう。

今の学歴で、どこで単位を取るか

認定心理士を目指すと決めたら、次は「どこで単位を取るか」です。

今の大学で取り切れるなら、それがいちばんの近道です。卒業していて単位が足りない方や、働きながら学び直したい方は、通信制大学の資料を見比べてみると判断しやすくなります。

心理学の資格

働きながら認定心理士を目指すなら

認定心理士は大学で所定の単位を修得して申請する資格です。今から単位をそろえるなら、通信制大学で学ぶ方法があります。入学・編入・科目等履修の選び方と、大学を比べる時のポイントをまとめました。

無料通信制大学で取る方法を見る

認定心理士の基準・費用や大学の制度は変わることがあります。最新の情報は日本心理学会と各大学の公式サイトで確認してください。

通信制大学で取る流れは、通信制大学で認定心理士を取る方法|働きながら目指す流れと注意点で詳しく紹介しています。

仕事にどうつながる?資格ごとの考え方

認定心理士は「学んだことを生かす」資格

公認心理師は心理職として名乗って働くための資格です。認定心理士は、学んだ心理学をいろいろな仕事に生かすための証明、と考えると分かりやすいです。

『認定心理士の求人って、公認心理師より少ないのかな』と気になる方もいますよね。

ここは考え方が少し違います。認定心理士は職能の資格ではないので、「認定心理士の求人」という形より、心理学の知識を生かせる仕事でアピールの材料になる、という使い方が中心になります。

認定心理士の生かし方
  • 学んだ心理学を、仕事の中で説明しやすくなる
  • 履歴書に、大学で学んだ分野をはっきり書ける
  • 心理職を目指す前の、学びの区切りになる
認定心理士だけではできないこと
  • 公認心理師の名称を使って仕事をすること
  • 臨床心理士として名乗ること
  • 心理職の資格として扱ってもらうこと

例えばこんな話し方ができる

認定心理士を仕事の場で生かす時は、資格名より「何を学んだか」を話す方が伝わります。例えば、面接ではこんなやりとりが考えられます。

「心理学の資格を持っているそうですね。カウンセリングができるんですか?」
「いえ、認定心理士は心理学の基礎を学んだ証明の資格です。実験や統計を学んだので、アンケートの集計や分析には自信があります」

このように、できることとできないことを正直に分けて話せると、かえって信頼されやすいですよね。

仕事への生かし方は、認定心理士でできる仕事は?就職・キャリアへの生かし方で場面ごとに紹介しています。

3つの資格の違いについてよくある相談

相談の多くは「どう違う?」「どこで取る?」

資格の違いについての相談では、3つの違いそのものと、大学院まで必要かどうか、公認心理師の科目がある大学で認定心理士も取れるか、という内容がよく見られます。

公認心理師・臨床心理士・認定心理士は、何がどう違う?

3つの資格の違いを、主にどんな仕事ができるかも含めて知りたい、という相談です。

違いは、認定している所と、資格の性格です。認定心理士は日本心理学会の基礎資格で、職能の資格ではありません。

公認心理師は心理に関する支援を業とする国家資格、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会の資格です。

心理の相談や支援を仕事にしたいなら、目標は公認心理師や臨床心理士の側になります。

一方で、心理学を学んだことを今の仕事や就職活動で伝えたいなら、認定心理士がちょうど合います。どちらが上かではなく、何のために取るかで選んでみてください。

『全部取らないと意味がないのでは』と焦る必要はありません。目的が1つ決まれば、目指す資格も自然に1つに絞れます。

認定心理士も、大学院まで通わないと取れない?

臨床心理士も認定心理士も、大学院まで通わないと取れないのか、という相談です。

認定心理士は、四年制大学を卒業して学士を持っていれば申請できます。大学院まで進む必要はありません。

臨床心理士になるための条件は、日本臨床心理士資格認定協会が定めています。こちらは協会の最新の案内で確かめてみてください。

公認心理師の科目がある大学を出れば、認定心理士も取れる?

公認心理師を目指せる大学を卒業すれば、認定心理士も取れるのか、という相談です。

取れる可能性はありますが、大学ごとに確かめる必要があります。認定心理士は、a〜hの科目ごとの単位と、実験の単位がそろっているかを授業の中身で審査するからです。

公認心理師の職責や関係行政論のように、認定心理士の基準を満たさない科目もあります。入学前なら、大学が認定心理士の対応科目を案内しているかを確かめておくと安心です。

公式の説明もあわせて

3つの資格の違いは、日本心理学会「Q & A」でも説明されています。公認心理師の詳しい中身は、厚生労働省のページで確かめてみてください。

よくある質問

認定心理士と公認心理師の違いは何ですか?

認定心理士は日本心理学会が認定する心理学の基礎資格で、職能の資格ではありません。公認心理師は文部科学省・厚生労働省が所管する、心理に関する支援を業とする国家資格です。

認定心理士と臨床心理士の違いは何ですか?

認定しているところが違います。認定心理士は日本心理学会、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会です。認定心理士は大学で心理学の基礎を学んだことの証明で、心理職の資格ではありません。

認定心理士は大学を卒業すれば取れますか?

四年制大学で必要な心理学の科目を36単位以上取って卒業すれば、日本心理学会に申請できます。試験はなく、書類で審査されます。

認定心理士の取得にかかる費用はいくらですか?

日本心理学会に払う審査料11,000円と認定料33,000円で、合計44,000円です。更新や年会費はありません。大学で単位を取るための学費は、大学ごとに違います。

認定心理士を取ってから公認心理師を目指すことはできますか?

2つは認定する所も目的も違う、別々の制度の資格です。公認心理師の受験資格には7つのルートがあるので、自分に当てはまるかを厚生労働省や公認心理師試験研修センターの案内で確かめましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 認定心理士は日本心理学会の基礎資格で、職能の資格ではない
  • 公認心理師は心理に関する支援を業とする国家資格
  • 臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格
  • 「学んだ証明」が目的なら認定心理士、「仕事の資格」なら公認心理師が目標
  • 公認心理師の科目が、そのまま全部認定心理士に使えるわけではない

まずは、自分の目的が「学んだ証明」と「仕事の資格」のどちらに近いかを決めるところから始めてみてください。

心理学の資格

心理学の資格 編集部

日本心理学会の認定心理士について、資格の意味・必要な単位と科目・申請の流れ・費用・通信制大学での取り方までを、はじめて調べる人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次